週末という概念

江國香織のエッセイ「いくつもの週末」の中にこんなくだりがある。

 少し前まで、私には、週末という概念がなかった。会社にいっていないせいだ。うらやましいと言われそうだが、土曜日も日曜日も仕事をしていただけのことだ、とも言える。
 そうしてそれは、夫に会ったことで変わった。夫とは週末にしか遊べないから。
 これは画期的なことだった。それまで何度か恋はしたが、週末という概念を持つ人と恋をしたのははじめてだったのだ。
 私はたちまち週末が好きになった。

わたしも、社会人になって数年間は、シフト勤務をしていて、休日が不規則だったので、週末という概念はなかった。けれど、異動して今の仕事に変わってから、土曜日と日曜日は基本的に休みとなり、週末という概念ができた。平日は一生懸命働いて、週末にゆっくり休んだり、たっぷり遊んだりするのが楽しくて、たちまち週末が好きになった。
また、「週末」という概念があることで、仕事の面でも変化があった。1週間、という新しい区切りができたので、それまで、1日の範囲内で終わらない仕事の計画を立てるのが苦手だったのだけど、1週間で帳尻を合わせる、ということができるようになった。
手帳をちゃんと使うようになったのもその頃から。月曜日始まりの、見開き1週間の、土日が半分ずつになっていない、バーチカルタイプの手帳を買った。
土日が半分ずつになっていない、というのがわたしにとっては重要なポイントだった。土日が半分ずつになっていると、休みが削られて、「庶民は文句言わずにあくせく働いておればよいのだ」なんてことを言われているみたいで腹立たしいではないですか。
そして、そうして買った手帳を開くと、左から7分の5が仕事、右の7分の2が休み、2つにきれいに分かれている。なんて気持ちがいいんだろう、と、しみじみ思ったのだった。今でも、手帳は月曜日始まりの、見開き1週間の、土日が半分ずつになっていない、バーチカルタイプを愛用している。今週の右の7分の2は、何も入れないで、のんびり。

■今日聴いた1枚

THE DOORSの1st
「BREAK ON THROUGH」から始まって、「THE END」で終わる、何度聴いても完璧なる作品。CDでは次々にリミックスされて再発されている。消されていた歌詞を復活させるなどは分からんでもないが、左で鳴っていたのを右に振るとか、そこを変えた意味が分からないよ!という変更も多々。今日は、レコードのMONO盤で。