美しく生きる

加藤ゑみ子さんの「収納計画は人生計画」という本がある(残念ながら絶版)。その一節。

無理に収納しなくてもよろしい。出したままにしておいてよろしい。その代わり、すべて美しい物にしてください。

収納とは住まいを美しく保つこと。全ては美意識から始まる。「美しければ出したままにしておいてよろしい」、なんてかっこいいんだろう。物を選ぶ目が変わり、つまらない衝動買いをしなくなり、30年以上の長きにわたってできなかった掃除や整理整頓が、楽しいものになった。
学生の頃(もう20年ぐらい前だ)、京都の町家を改造(?)したお店でアルバイトをしたことがある。家の中も外も、きれいに掃いて、隅々まで雑巾がけをするのがメインの仕事。広い家なのでとんでもない肉体労働。きついからって手を抜くと、女社長にこっぴどく叱られた。
「掃除いうのは、心を磨くんや!」
当時は、安い時給でこき使いやがって!と思っていたけど、今ならその言葉が理解できる。
美しいもの、気に入ったもの、大切なものだけを選ぶこと。周りを美しく保つこと。「行動基準」を「美意識」に置くと、その意識はやがて内面に向かいはじめる。自分がどうありたいか、どうあるべきかをいつでも考える。少しずつでも、それを積み重ねていたら、いろいろなことがうまく回り始めた、そんな気がする。

■今日聴いた1枚

twelve/Patti Smith
2007年にリリースされた、フル・カヴァー・アルバム。失礼ながら、美人でもなければスタイルがいいわけでもないが、60歳を過ぎても、その生き方がいつまでも美しくかっこいいと思う、憧れの人である。