何を買うか、あるいは買わないか

年功序列型賃金というものが崩壊して、わたしの勤務先でもいつの間にか「年齢給」というのがなくなり、職能ランク別の賃金制度になった。昨年、1ランク上がったので少し収入は増えたのだが、それ以前の10年ぐらい、給与は全く変化なし、税金だの社会保険料だの何だのの控除はじりじりと増えて、手取り収入は微妙に減っていくという大変残念なことになっていた。
学生の頃は、お小遣いはあったらあっただけ使うタイプで、いつもお小遣いが足りなくてピーピー。社会人になってから、20代後半までの独身時代は、とにかく仕事が忙しくて、お金を使っている暇がなかったので、放っておいてもそれなりに貯金もできた。その後1度目の結婚をして、そのときにいろいろあって…少しずつ、その貯金を取り崩すことになってしまったが、それでも何とかやっていけたので、あまり危機感を感じたことも、自分の金銭感覚を何とかしようと思うこともなかった。
そんな環境の中、勤務先に存亡の危機が訪れた。さあ大変。夫(当時)の収入はあてにできない。なぜなら職場結婚だったから、会社がつぶれたら共倒れ。どうしよう!?
そこで初めて、お金というものについて、真剣に考える必要があることに気づいたのであった(遅!)
ちょうどこの時期に出会ったのが「金持ち父さん 貧乏父さん」。雨後のタケノコの如く出版された初心者向けの投資本や節約の本など、いろいろ読み漁った。ちょうど同じ頃に、やっぱりベストセラーだった「捨てる!技術」も読んだ。家が片付かないのも悩みの種だったので。
で、両方を読んだ、ということが、今思えば非常に意味があった。お金の流れと、お金を使うことで発生する物の流れの両方を、真剣に見つめなおす機会を得ることができたのだ。要らないものにこんなにお金を使ってたんだ・・・と愕然としたことは言うまでもなく、その点で全く歩み寄れなかった夫とは結局別れ、一人での生活を始めた。
その頃読んだ本で、もう一つ印象に残ったのは、丸山晴美さんの本で、タイトルは忘れてしまったのだが、「節約するのは、使いたい時に、使いたいところにお金を使うためだ」というようなことが書いてあって、ケチと節約は違うんだ、ということを教えてもらった。
で、収入は少なくても、自分が暮らす空間だけは大事にしたい、妥協したくない、と思って、収入の4割を超えるという、普通では考えられない比率の金額を家賃に充てていたが、自分の生活は自分で守らなきゃ!と思って、積立貯金もやめることなく、それでも楽しく生活できていた。
毎月、家賃と積立貯金以外で残った分は、全部使い切ってもOKと決めて、家計簿はつけずにどんぶり勘定。自由に使えるお金は、当然のことながらあんまりなかったけど、だからこそ、自分にとって本当にお金を使うべきものは何か?(単に「生活必需品しか買わない」ということではなくて)ということを考える習慣がついたんだろうと思う。
どんなに安くても、必要なければ買わない。多少高くても、必要と思えば思い切って買う。
当時はいろいろしんどかったけど、それがなかったら、気づけなかったことかもしれない。

■今日聴いた1枚

ダブルドライブ/井上陽水奥田民生
休日はやっぱりゆる〜いのがよろしゅうおすな。
ちなみに、CDやレコードは、我が家ではお金を使うべきところ!